ウィムッシュ!
職場の先輩がどうしても落語を見てみたいというので、落語会に招待をした。
しかし、招待したのはいいが、知り合いの前で落語をやるのは初めてのこと。
高座にあがる前から何だか落ち着かない。
緊張からか水分摂取が止まらず、かれこれ2本目の水を飲もうとしたところで自分の番がやってくる。
トントントトン♪
『宮さん宮さん』の軽妙な出囃子が場内に響き渡る。
『みやのひろ』という高座名にかけて落語教室の方が選んでくれた曲。
曲を聞きながらゆっくりと高座にあがり、お辞儀をして会場を見渡す。
・・・あれ?
先輩が見当たらない?
目を凝らして探したい衝動に駆られるが、お客さんは先輩だけではないのでグッと我慢して噺に入る。
しかし、それでもやはり気になるものは気になる。
いつもより上下を余計にきってついつい探してしまう。
ようやく見つけたときにはもう噺も終盤。
なんだか落ち着かない落語のまま終わってしまった。
・・・知り合いがいるというだけでこうもやりづらいとは。
落語会終了後、演者全員で観客をお見送りする。
その際、先輩に話しかけるが、
「感想はメールで送ります」
と言うなり、そそくさと帰ってしまった。
やはり緊張が伝わってしまったのか。
と、落ち込んでいるとメールが着信を告げる。
『素晴らしい落語でした。滑舌も良く声の張りもあって、楽しく聞かせていただきました。』
やばい・・・。
すげぇ嬉しい。
こんな直接的な感想もらったことないから、かなり興奮する。
お礼のメールを送り、後日直接話そうと言うことに。
明くる月曜日、会社に出勤すると昼休憩まで待てなかったのかすぐに先輩が席に寄ってきて話始める。
「久しぶりに生の落語を聞きましたが、皆さん上手でした」
「それぞれ個性があり、飽きずにずっとみていられました」
「みやのひろさんも本当に練習したんですね。一端の落語家でしたよ」
「出囃子は『宮さん宮さん』でしょう?高座名とマッチしててよかったですよ」
朝っぱらから話が止まらないwww
どんだけ感想を言いたかったんだwww
てか、周りに聞こえてるからすげぇ恥ずかしいwww
しかし、先輩は止まらず
「落語家ってのは佇まいだけで面白いね」
「顔を見てると笑っちゃうよね」
「でも、そこいくとみやのひろさんは損してるねー」
あれ・・・?
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ?
「他の落語家さんたちに比べると顔が整いすぎてるでしょ」
「みやのひろさんはイケメンだから」
「顔のインパクトで負けていまいち笑いに結び付かないんだよなー」
・・・誉められてるのか貶されてるのか反応が難しいw
でも、悪い気がしないのは確かだw
まだまだ感想は続き
「そこいくと、次に出たあの人!いやぁあの人は面白かったねー。出てきただけで笑っちゃったよ!顔が面白いからもう座ってるだけでも面白い!」
「みやのひろの落語はいいから、あの面白い顔の人の落語に誘って!」
そんなに面白かったか。。。
やはり、顔で笑わせるのも芸人だもんなー。
しかし、そこいくと顔が整いすぎてる自分は芸人失格か。
でも、悪い気がしないんだよなーw
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