【レビュー】こっちへお入り

33才のOL・江利は、友人の落語教室の発表会に誘われて、人生で初めて生の落語を観ることになる。生の落語といっても素人落語。下手でぎこちなく、見ている側は作り笑いが精一杯。しかし、演じる側は本当に楽しそう。「やってみなければ楽しさはわからない」との講師の言葉に、江利も落語教室に足を運び習うことに。

本書は落語を通して江利が他人への気遣いや何かに打ち込む情熱を取り戻していく成長物語です。
章ごとに江利の悩みと落語の演目をからめて進む構成です。自然と演目のあらすじが覚えられ、そして、落語の奥深さを知ることができます!
江利は新しい落語と出会う度に、登場人物やセリフについて考察をするのですが、この考察に衝撃を受けました。
落語家による演じ方の違いを分析したり、台詞ひとつをとってもその背景にある思いを想像したり、と台詞の裏にある登場人物の気持ちやその時代の価値観にまで思考を巡らせています。
私は師匠から落語を教わり出して数ヵ月が経とうとしてますが、そこまで考えたことなかった・・・
自分の底の浅さを江利に気づかされました( ノД`)…
また、章がかわるごとに、コラム的に「江利の知ったかぶり落語用語解説」なるものがついております。
演目の解説や落語家の紹介など、私もだいぶ知ったかぶりなのでこの解説には大変助けられましたwww
私が一番面白かった箇所は、江利の発表会のシーンです。江利の通う落語教室には「新規参加者の演目は『寿限無』」というルールがあり、発表者7名のうち3名が寿限無を演じます。
私のお世話になってる落語道場も第1部と第2部で同じ演目をやったりするので、「もしや素人落語あるある!?」と思い、笑ってしまいましたw
他にも台本をポケットに入れてトイレでこっそり読んだり、気づけば口のなかでセリフをぶつぶつ呟いていたり、江利がやってることは自分もやってるw
同じ素人落語家として、感情移入しながら楽しく読めましたw

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