「要約筆記者に『聴覚障害者の臨床心理』をテーマに講演をして欲しい」とお声がかかり、ならば勉強をし直さねば!と「聴覚障害者の心理臨床2」を購入しましたのでレビューします。
本書は臨床心理士が聴覚障害者とのカウンセリングを通して経験したことを記した一冊です。聴覚障害者の臨床にたずさわる経緯や障害者施設でのグループカウンセリングの様子、ろう学校での遊びの様子、病院でのコミュニケーション意識の共有など、様々な場面での体験談が綴られています。
私が本書で特に考えさせられたのが、先天性難聴者の症例です。
この症例を読んだときに、心のケアの難しさを痛感しました。
聴覚障害者へのサポートとしてノートテイクは有名です。学校によっては積極的にノートテイクの活用を促すところもあります。この症例の学校も積極的なサポートを取り入れていると考えられます。しかし、その積極性がかえって本人の「いままでの自分」を否定することにつながってしまったのです。
この症例のその後はこのように記されています。
親へ早期から情報提供を行い、様々なコミュニケーション手段を習得していれば、もしかしたらこのような「自分の否定」にはつながらなかったかもしれません。しかし、それでも他人とは違うコミュニケーション手段を講じる自分に違和感を覚えるかもしれません。心の動きは実に様々です。言語聴覚士にもカウンセリング技術の必要性を感じました。
あと、巻末のほうには聴覚障害者へのアセスメントのコツや心理検査実施上の注意点等が書かれており、これが本当に役にたちます。!
まだまだ紹介したい内容はたくさんありますが、ここでは書ききれないので是非本書を手にとって読んでみてください!
臨床のためになること間違いなし!のオススメの一冊です!
聴覚障害者の心理臨床(2) [ 村瀬嘉代子 ]
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