オーダー「見えざるもの」

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ウィムッシュ!

高座の経験を重ねると、いままで見えなかったものが見えるようになってくる。

そのひとつにお客さんの反応がある。

落語を聞きに来るお客さんの反応は様々。

 

若い落語家にキャーキャーする女性。

目をつぶってじっくり聞く男性。

珍しそうに目を輝かせる子供。

そして、マクラから演目を当てようと推理を始める玄人おじさん。

 

「私は落語教室に通っているのですが、この落語教室がそれはまぁ至れり尽くせりで本当に評判がいいんですよ」

ある落語会での出来事。

高座にあがり、軽く世間話から入る。

この辺りはまだ触りも触り。演目とはほとんど関係ない部分だが、客席を見回すとブツブツと考え事をしている人が数名。

 

「至れり尽くせりとはいっても、まぁやはりどこか不満はあるもので・・・師匠に名付けのセンスがないんですよ」

ドッwww

恒例の師匠いじり。

師匠いじりにも磨きがかかってきたのを実感する。

この辺りからさらに眉間にシワをよせ益々考え込む玄人おじさん。

 

「今日ご一緒させていただいている落語家の皆さんのお名前のなんとすばらしいことか! それに比べて『みやのひろ』・・・どうせありきたりですよ!!生徒全員ありきたりですよ!!!」

ドッwww

今日の師匠いじりは実にウケがいい。

玄人おじさんも演目がだいぶ絞り込めたようで、小さな声で『あれかあれだな・・・』と言っているのが聞こえる。

 

「まぁ、名前というものはそれぞれ親の思いが込められておりまして、いざ付けるとなると色々なことを考えるものでございまして」

スルッと演目に入る。

演目に気づいた玄人おじさんとまだ確定できていない玄人おじさんがいるようで、何やら互いに牽制し合っている。

 

「『めでたい長生きするような名前はありませんか?』『うむ・・・経文のなかに寿、限り、無しと書いて寿限無というのがある』」

この台詞を言った途端、そこかしこから

 

「ほら当たったw」

「なw?寿限無だったろw?」

「寿限無だと思ってたんだよw」

と、一様にしたり顔で家族に語り出す玄人おじさんwww

わかってなかった人もしたり顔なのが面白いwww

 

しかし、実は寿限無を高座にかけるのは初めて。

そのため、この辺りからちょっと余裕がなくなる。

ミスらないように慎重にネタをくる。

 

「『他にありませんか!?』『うむ、海砂利水魚というのがある。』」

そのとき、客席から大声が発せられる。

 

「海砂利水魚ーーーwww」

 

!?

何が起こったの!?

まさか・・・台詞間違えた!!?

 

突然の事態に戸惑ってしまい、噺を止めてしまう。

すると、噺が急に止まったのが面白いのか客席から笑いが巻き起こる。

 

ちょwww

やめてwww

いま笑うとこじゃないからwww

 

「え・・・いま笑うとこじゃねぇんですけど」

 

ドッwww

またまた巻き起こる笑いの渦。

一瞬、何が起こったのか理解できなかった。

が、どうやら心の声が漏れていたらしい。

 

って、心で思っただけでなくしっかり口から声でちゃったよwww

笑うとこじゃねぇとか落語家としてあるまじき台詞www

 

でも、良い意味で緊張が取れてそこからはスムーズに落語が出来た。

お客さんも大いに笑い、小さいお子さんも声を挙げてよく笑ってくれていた。

やはり、落語はこれだから面白い。

 

落語会が終わったあと、最前列で聞いていたお子さんが近寄ってきた。

 

「落語面白かった!」

 

可愛いwww

せっかくだから感想を聞いてみる。

 

「寿限無良かった?」

「んーーーわかんない!」

 

わかんないかー。

でも、可愛いから許すwww

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