オーダー「第7回落語国際大会IN千葉~応募準備完了~」

落語

ウィムッシュ!

第7回落語国際大会IN千葉に応募する気持ちを固め、さっそく事前審査用の音源を取る作業に入る。

去年は家で録音をしたが、寝ている家族の手前声量が出せず、しかも一発録りだったこともあり、上手く録音できなかった結果、事前審査で落選した。

今回はその反省を踏まえて、高座でやった落語をそのまま録音することにした。

舞台は申込み期限の2日前にあるボランティア落語。

自分を追い込むために敢えて期限ギリギリを選び、一発勝負にかける。

大会用に得意の演目を10分にまとめ、練習に練習を重ねた。

そして、いざ高座に上がる。

 

ドドン。

 

「よろしくお願いします。えー、11月に千葉県文化会館で落語国際大会っていうアマチュア落語家の大会があるんですが、ご存じでしょうか?」

 

高座の入口で大会のチラシを配っていたようで、皆、チラシに目を落とす。

 

「こちらの大会がかなりレベルが高くて、録音したテープを送って事前審査もあるんですよ。」

 

ほー。

客席から声が上がる。けっこう食い付きが良い。

 

「私も去年応募しましてね、その順位は言いますと! 事前審査落ちです。ええ。箸にも棒にもかかりませんでした。」

 

ドッwww

上々の笑い。良いペースで運べてる。

 

「まぁ、それほど厳しい大会だということを知ってもらいまして、実は事前審査を通過するのにテクニックがあるようなんです。」

 

ふんふん。

俄然食いつく観客。

 

「そのテクニックというのが・・・お客さんの笑い声です。笑い声が多いほど事前審査も通りやすいらしいのです。いまからテープに録音しますから、どうぞ皆様たくさん笑い声を吹き込んでください。つまらなくても笑ってくださいね。」

 

ドッwww

パチパチパチ!

笑いと拍手が巻き起こる。

観客を味方にできた。調子にも乗れた。

あとは全力を出し切るだけだ!

 

「では改めてよろしくお願いします。『えー仏説の方に白犬は次の世には人間に生まれ変われるてなことがございまして。』」

 

今回用意したのは犬が人間に生まれ変わる滑稽噺。

犬のクセが抜けない不思議なやりとりが笑いのポイントになる。

高座に何度もかけたこともあり、自慢の演目。

 

しかし・・・

さっきまでの盛り上がりが嘘のようにクスリとも笑わない観客。

時事ネタも師匠直伝の渾身のくすぐりもどこ吹く風。

これほど笑いのない高座も久しぶり。

その後もこれといった笑いもなく、居たたまれない空気のなか高座から降りる。

 

全っ然ウケない!

これで事前審査受かるわけねーーー!!!

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