オーダー「中途半端な期待感」

落語

ウィムッシュ!

久しぶりに外部の落語会にお呼ばれして高座にあがった。

定期的に落語会を開いている団体であり、お客さんはほとんどが常連さん。

開演前に会場を見渡せば、お客さん同士が和気あいあいと話し合い、ひいきの演者さんを囲んで盛り上がったりしているところもある。

時たま、チラチラと視線をこちらに向ける方もおり、外部の落語家はかなり珍しい様子。

このアウェーの空気の中、どこまで自分の落語が通用するか腕の見せ所だ。

開演時間も迫り、客席もほぼ大入りになったそのとき、見知った顔が会場に入ってきた。

 

「よ!今日は応援に来たよ!」

 

うちの落語道場の主催者さんじゃないですかーーー!!!

アウェーでかなり心細かったからマジ嬉しい!

 

自分が出演するのを聞きつけて、わざわざ遠いところ足を運んでくれたとのこと。

これは否が応にも気合が入る。

ドドン。開演を告げる太鼓が鳴り響き、落語会が幕を開ける。

前半は団体の演者さん、そして仲入り後の後半に自分の番がくる。

 

団体の演者さんはさすがにホームの落語会だけあって、客席との一体感があり、盛り上がりがすごい。

完全新作ネタでありながら、盛り上がりに合わせてアドリブも交えて高座に居ながら客席もいじり、ドッカンドッカン沸かせて予定時間を大幅にオーバーして高座を降りる。

だが、自分も負けてはいられない。

せっかく外部で顔を売るチャンス。客席はすでに満足げな表情だが、ここからは俺の番。

仲入りで一度クールダウンしてもらって、反撃開始だ!

 

と、気合を入れなおしたそのとき。

主催者さんが自分のもとへ近づいてきて一言。

 

「次の予定があるからこれで失礼するね。それじゃ頑張ってね!」

何しにきたんだーーー!!!

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