シーズ・ニーズマッチング交流会2019に参加してきました

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障害者自立支援機器の作る人(シーズ)と使う人(ニーズ)の交流会「シーズ・ニーズマッチング交流会2019(2020年2月19日東京会場)」に参加してきました。

会場には、「作る人」の企業や研究所、「使う人」の障害者団体などがブースを並べており気軽に話を聞くことができます。すっごくマニアックな技術的な話から障害者本人の困っている悩み事まで実に色々な話を聞くことができ、とっても勉強になります。

以下に、私が興味をそそられたブースを記載していきます。

シルウォッチ:東京信友


聴覚障害者向けの福祉機器を取り扱っている株式会社 東京信友さん。
振動や文字で情報を伝える腕時計型の小型無線通信システム「シルウォッチ」、インターホンに連動して来客を光で教えてくれる「シルピカ」、振動で朝の目覚ましを知る「シルシェイカー」など、様々な機器があります。
シルウォッチやシルピカは日常生活用具の「屋内用信号装置」として市町村の助成を受けられる可能性があるとのこと。

さらに、シルウォッチはリニューアルにより、騒音のある工事現場や人数の限られた介護現場等でも使えるように双方向の通信システムの機能を採用したとのことです。これにより多様なIOTに応えられる機器に発展したようです。

ユアトーン:DENCOM


電気式人工喉頭「ユアトーン」を製造しているDENCOM(株式会社 電制)さん。
喉頭摘出、気管切開、声帯麻痺、ALSや筋ジストロフィーなど、声が出せない・声を出しづらい方が自分の声帯の代わりに喉頭を振動させて発声をする機器です。
こちらも日常生活用具の給付対象になる可能性があるとのことです。

また、一部地域限定で喉頭にベルトで固定するタイプも試験運用しているとのことでした。

ヒアリングループ:ソナール


聴覚障害者用ヒアリングループを取り扱っている株式会社 ソナールさん。
ヒアリングループとは、難聴者の聞こえを支援する設備で、映画館や会議室、ホールなどの広い空間において、ループアンテナを設置して誘導磁界を発生させることで、補聴器や人工内耳のテレコイルで直接話し手の音を聞くことができるシステムのことです。

ソナールは建物だけでなく、バスやタクシー、自家用車へのヒアリングループシステム設置を検討しており、一部の自治体で試験的に導入しているとのことでした。

コールセンター通訳サービス:プラスヴォイス


聴覚障害・発声障害のある方の通訳サービスを行う株式会社プラスヴォイスさん。

航空会社・カード会社・保険会社などへの問い合わせをする際に、障害のある方がスマホ・タブレット・パソコンのテレビ電話で筆談や手話で会話をし、それを通訳オペレーターが通訳して企業に伝えます。

対応している企業はHPで確認できます。

e-mimi:アイセック・ジャパン


リアルタイム文字通訳サービスを行う株式会社アイセック・ジャパンさん。

e-mimiとは、話した内容をリアルタイムでWEB上に文字配信する仕組みです。
会議や研修会、セミナー、シンポジウム等で活用されているとのことです。

電話リレーサービス:全日本ろうあ連盟


電話リレーサービスを行う一般財団法人全日本ろうあ連盟さん。
聴覚障害者が聞こえる人に電話をするときに、オペレーターが手話や文字を音声で相手先に伝えてくれます。

伝の心:日立ケーイーシステムズ


重度障害者用意思伝達装置「伝の心」を取り扱う株式会社日立ケーイーシステムズさん。

重度障害者用意思伝達装置とは、ALSや多系統萎縮症などの疾患が原因で声を出すことも手を動かすことも難しくなった方が、スイッチひとつで自分の意思を伝える機器です。
スイッチはボタンによる接点式、静電気による帯電式、視線による視線検出式など、身体状態に合わせて選択していきます。

また、「伝の心」の機能を凝縮したタッチパネル式のコミュニケーション機器「心たっちS」も展示されていました。
直感的操作ができて、症状が進行した場合でもスイッチをつなぐことでスイッチ操作もできるとのことです。

重度障害者用意思伝達装置は補装具の対象となっていますので、市町村の助成を受けられる可能性があります。

OriHime:オリィ研究所


分身ロボット「OriHime」を取扱う株式会社オリィ研究所さん。
最近、テレビでも取り上げられることの多い分身ロボットのOriHimeです。テレワーク、特別支援学校などでの遠隔教育、ALSなどの疾患で動けない方などに導入されているようです。

また、重度障害者用意思伝達装置「OriHime eye+Switch」も扱っています。こちらも補装具の対象となっていますので、市町村の助成を受けられる可能性があります。

トーキングエイド:ユープラス


携帯用会話補助装置「トーキングエイド」を取り扱う株式会社ユープラスさん。
トーキングエイドは50音表の文字をタッチしていき文章を入力していくiPadアプリです。
50音表のテキスト版とイラストのシンボル版のアプリがあり、シンボル版はイラストだけでなく写真も登録でき、自閉症(ASD)のお子さんでも使用できます。

トーキングエイドアプリの機能を全部詰め込んだ、機器一体型「トーキングエイドプラス」も新たに取り扱いをスタートしたとのことで、日常生活用具の携帯用会話補助装置の申請ができる可能性もあるとのことです。

the-Braille:ルイブライユSYSTEMプロジェクト


視覚障害者のコミュニケーション手段である点字をiPhoneで入力できるよう開発しているプロジェクトです(サポートサイト:https://www.inhausds.co.jp/works/apps/the-Braille/index.html)。
まだプロトタイプですが、2020年リリースを目指してスマートフォンで体験することができるようです。
詳しくは「体表点字式文字入力システム the-Braille」

イヤーマフ:アドプラス


自閉症(自閉性スペクトラム障害:ASD)など、音が苦手な方向けに周囲の苦手な音刺激を減らす効果のあるイヤーマフを取り扱うアドプラスさん。
イヤーマフは、周囲の音の減衰レベルにより色々な種類があるようです。

ほかにも、トイレや入浴、スケジュールを視覚的に管理できる「やってみようシリーズ」もありました。

全日本難聴者・中途失聴者団体連合会


聴覚障害者の抱えるニーズを紹介していた全日本難聴者・中途失聴者団体連合会さん。
聞こえやすくなる工夫として、ヒアリングループやUDトークの活用を紹介していました。
また、「耳マーク」入りのカードやバッチを配布していました。

特定非営利法人 日本失語症協議会


失語症のある方の抱えるニーズを紹介していた特定非営利法人日本失語症協議会さん。
失語症の説明や失語症者意思疎通支援事業の説明をしていました。

社会福祉法人 全国盲ろう者協会


盲ろう者の抱えるニーズを紹介していた社会福祉法人全国盲ろう者協会さん。
盲ろう者の利用可能な機器や「あったらいいな」を紹介していました。

一般社団法人 言語聴覚士協会


言語聴覚士を紹介していた一般社団法人言語聴覚士協会さん。
言語聴覚士とは、ことばや聞こえに障害を持つ方の機能回復や発達促進の援助を行う専門家です。
最近では、失語症意思疎通支援事業がスタートしたり、聴覚障害の分野で自民党議連の会議に参加したりと言語聴覚士の認知度が高まっているようです。

厚生労働省


行政ブーストして厚生労働省が参加されていました。
各事業のレジュメやほじょ犬のパンフレットが配布されていました。

まとめ


障害者自立支援機器の作る人(シーズ)と使う人(ニーズ)が直接顔を合わせて話し合える場として、とても楽しいイベントです。
身近にあるテクノロジーの工夫から障害者のニーズに合うものを作り上げた製品もあれば、IOT技術の発展とともに様々な工夫が施された製品もあり、作るということは凝り固まった考えではダメなのだなと実感します。
新しいものに触れ、柔軟な思考が使う人のニーズに応えられるのだと感じました。
作る人(シーズ)と使う人(ニーズ)の双方の話を聞くことができ、とても学びの多いイベントですので、来年も参加したいと思います。

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