オーダー「ウェブ会議の罠」

仕事

ウィムッシュ!

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、編集者との打ち合わせがzoomになった。

研修会などでもzoom利用が増えてきたため、練習がてらzoomを試せるのはありがたい。

タブレットにアプリのインストールOK

リビングの片付けOK

家族の不在OK

いざ、zoomスタート!

 

と、そのとき。

『ピンポーン』

インターホンが室内にこだまする。

これが噂に聞くzoomあるあるか。と、愚痴りながらも急いでモニターへと向かう。

すると、そこには妻の姿が。

 

ちょ!?

今日は食材の買い出しの日じゃなかったの!?

何でこんなにも早く帰ってきてんのー!!?

 

「買い出し行こうと思ったんだけど、よくよく考えたら買うものがなかったから帰ってきた。・・・ところで、リビングが片付いてるんだけど何で?」

 

リビングの様子に疑問を持つ妻。

 

ぐう。するどい。

家族には出版のことを一言も伝えていない。

ここは何とかやり過ごすしかない!

 

「今日は仕事でウェブ会議が入ってるんだよ。だから静かにお願いね。」

「そ。」

 

素っ気ない返事をし、何故かリビングでスマホをいじり出す妻。

 

え?

何で?

だからいまからここで会議って言ってるじゃん!?

 

しかし、妻は頑として動かず

 

「静かにしてればいいんでしょ?大丈夫。邪魔しないから。」

 

ぐう。そこまで言われたら言い返せない。

これはもうこのまま始めるしかない。

 

妻に音を聞かれないようにボリュームを極力小さくしてzoomを開始する。

 

「すみません遅くなりました。」

「あ!先生お久しぶりです。無事繋がりましたね。それではさっそく出版の打ち合わせを」

「んん!・・・例の打ち合わせですよね?」

「?そうですね。打ち合わせを始めさせていただきます。」

 

あぶねー!

いまの聞こえてなかった?

妻をチラ見するが、聞こえている様子はない。

 

「では、さっそく本のカバーの件ですが」

「んん!・・・資料のカバーですよね?」

「?そうですね。カバーのことでご相談ですが。」

 

マジあぶねーから。

頼むから出版とか本とかバレそうなワードは言わないで!

 

その後も妻に聞こえてしまう前にヤバそうなワードを大声でかき消し続ける。

編集者がかなり怪訝な顔をしているが気にしない。

自分の平穏のために今は全力で編集者が発言を潰すしかない。

 

「では、これで打ち合わせを終わりにしようと思います。長い時間ありがとうございました。」

 

本当に長かった。。。

でも、なんとかバレずに終わることができた。。。

疲労困憊のなかタブレットを片付けていると、妻が近寄ってきて一言。

 

「お疲れ様。それで、その本が出るのはいつ?」

しっかり聞かれてましたーーー!!!

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