ウィムッシュ!
ついに最後の落語教室がきた。
未だに通しで演目を稽古してもらっておらず、今日がラストチャンスとなる。
今日こそは師匠にしっかり稽古をつけてもらおうと気合いを入れて教室に入る。
「本日もよろしくお願いしま・・・す!?」
挨拶をしたところで驚きの光景を目の当たりにする。
時間前なのにすでに稽古が始まっており、しかも高座に上がっているのは別グループに通っている兄さん。
教室内にはいつも通り姉さん、Georgeの他に別グループの兄さん姉さんが稽古の順番を待っている。
稽古の邪魔をしないように近くにいる兄さんにこっそり事情を伺う。
「何故別グループの兄さん姉さんたちがいるんですか?」
「師匠から補習を言い渡されてね、こちらの教室にお邪魔しにきたんだ。」
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聞いてねーーー!!!
ただでさえ自分の演目は長くて時間がかかるんだ!
補習を受け入れてたら師匠に稽古をつけてもらう時間がなくなるだろうが!!!
ここで稽古順を後回しにされたら稽古をつけてもらえなくなるのは目に見えている。
師匠に必死に目で訴えかけるが、そんなアピールなんてどこ吹く風。
「では、来た順で稽古をお願いします。」
今日に限って無情の判断。
補習組、George、姉さんと稽古をしたところですでに規定の稽古時間を大幅に過ぎている。
ようやく最後に名前が呼ばれる。
「では、みやのひろさん、後半からお願いします。」
結局、一番最後。。。
しかも稽古は後半だけ。。。
それもこれも全部補習組のせいだ。
補習を受けるハメになるからこっちまで皺寄せがくるんだ。
才能の違いを見せつけてやる!
「よろしくお願いします。『えー、家主さまのお宅はこちらでございますでしょうか?』」
師匠は常々声量に対して厳しい。
その師匠を黙らせるくらいの圧倒的な声量で演じる。
シンと静まり返る教室内。
声量にビビっている様子の別グループの兄さん姉さんたち。
怒りから来るパワーなのか、迫力の演技のままサゲまで終える。
やってやった。
どうだこれが才能の違いだ!
満足のまま高座を降りると師匠から指導が入る。
「声はとてもよく出ていました。ですが、怒ってはいけませんよ。」
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的確なご指導ありがとうございましたー!
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