オーダー「第4回落語教室 3日目~個性のぶつかり合い~」

落語

ウィムッシュ!

前回の失態を晴らすべく挑んだ落語教室3日目。

今回は台本もしっかり作り終え、仕事の合間をぬって個人練習もみっちりと行った。

師匠に練習の成果を見てもらう準備は万端。

 

「今日もよろしくお願いします!」

 

挨拶をし、顔をあげるといつもと違う雰囲気の師匠や姉さんを見つける。

それもそのはず。

毎回この辺りの稽古からは、覚えた噺をただ喋るのではなく、自分なりに登場人物の個性を出していくことになる。

姉さんの熱意に当てられたのか、一心不乱にノートを凝視する新人たち。

そんな中、緊張をものともせず

 

「ワターシ漢検5級に合格しましたー!」

 

と、師匠へ話しかけるGeorge。

奴の実力は未知数だ。

 

「では、順番にお願いします。」

 

師匠の声かけで稽古が始まる。

 

「よろしくお願いします!」

 

高座に上がりお辞儀をする。

 

「『世の中には小言っぽいなんてな方がいらっしゃいまして。』」

 

繰り返し聞いた師匠の小言幸兵衛。

発声のタイミング、間の取り方、声量に至るまで師匠のやり方で練習した。

自分なりの個性はあるけれども、やはり師匠から教わった落語をやっていきたい。

前半部分が終わったところで師匠から止めが入る。

 

「しっかり覚えましたね。声も出ています。その調子で後半も覚えていってください。」

 

細かい仕種を直され、高座を降りる。

 

上々の評価なのではないか!?

こりゃかなり嬉しいー!

 

次に上がったのは姉さん。

姉さんは江戸言葉ができないとのことで、全編標準語。

自分が師匠譲りのべらんめぇ口調で捲し立てるタイプなら、姉さんは丁寧に諭すタイプ。

やはり違う印象の演者の噺を聞くのは本当に楽しい。

姉さんの番が終わり、次に新人が上がる。

新人はさすがにまだまだ台詞を覚えるだけで一杯なのか、師匠から上下や仕種をしっかり直される。

最後に高座に上がったのはGeorge。

 

「よろしくお願いしまーす!」

 

タブレットを持っていないことにホッと胸を撫で下ろし、Georgeの練習の成果を見る。

 

「昔は、美容院なんてものはなく、床屋で髪を結ってもらっておりまして」

 

おー。しっかりと覚えてる。

たどたどしいところもあるが、こんなにスラスラ台詞が出るのは素直に感心する。

その後もGeorgeの噺は続き

 

「海老の絵を飾ってある床屋はエビショ、蟹ならカニショ、オカメショ、ヒョトコショなんてものもありまして」

 

・・・エビショ?

そんな台詞あったっけ?

教室中はてなマークが浮かぶ。

しかし、Georgeの不思議な台詞は止まらず

 

「床屋のチュウニ、若い衆が集まりまして」

 

教室中に益々はてなマークが浮かぶなか、師匠が一言。

 

「なかに」

なかに?

そういうことかー!

『中(なか)』をチュウと読み間違えてたのかー!

そして『海老床(えびどこ)』を『エビショ』と読み間違えてたのかー!

 

師匠の一言で教室内のモヤモヤが晴れ渡る。

しかし、当の本人だけは理解できなかった様子。

そこで稽古は打ちきりになり師匠から指導が入る。

 

「えびどこ。はい、言ってみて。」

「えびどこ。」

 

師匠の言葉を繰り返すGeorge。

 

「じゃあ台詞言ってみて。」

「海老の絵を飾ってある床屋はエビショ」

「いや違う。え、び、ど、こ。はい言ってみて。」

「え、び、ど、こ」

「じゃあもう一回台詞言ってみて。」

「海老の絵を飾ってある床屋はエビショ」

漢検5級の個性が強すぎるーーー!!!

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